![]() |
![]() |
1 |
![]() |
![]() |
0 |
![]() |
![]() |
0 |
![]() |
![]() |
0 |
![]() |
![]() |
0 |
『すごくそーっとしてる。それと風邪をひいたときみたいな…
体が少し痛いだろ?それと嬉しいのが混ざったような…
ふわふわした…』
上記は獣木野生さんのパームシリーズ「愛でなく」の中から抜粋したセリフだ。
アメリカを舞台にしたサスペンスでありホームコメディであり
アクションであり、ヒューマンドラマである。
もっと言ってしまえば、大河ドラマだ。
かなり個性的だから、絵柄とストーリーに馴染めない人も多いだろう。
でもこの作品から学ぶものは多い。
数多い名台詞を無視してこれが出てきたのは、私が今風邪を
ひいてるから、なんだけど…
人生について、愛について命について、この作品には深い台詞は
たくさんある。でもこの台詞はとても身近で納得できて好きなのだ。
主人公の心の中を、別の人物が語っているシーン。
主人公が恋人を想うときは「こんな感じ」だと言っているのだ。
そうそう、風邪をひいたときって、なんだか少し嬉しい。
もちろん寝込めば苦しいし、働くのは辛いけど。
子供の頃は少し、嬉しかった。
昼間からテレビの音を遠くに聞いて、熱でぼやけた意識の中を漂う。
ストーブの上で薬缶がシュンシュン音を立てて、母が お粥を炊く。
水枕が ぷかん と音を立てる。
枕もとには吸飲み。温くなった額のタオルはいつのまにか替え
られていて、湿ったパジャマを脱がせてくれる母の手はひんやりと
していた。
そう、あの感じ。あの感じに愛情を例えるなんて、いいなあと思う。
テーマは壮大で深い深いストーリーの漫画だけど、こんな小さな幸せと
大きな困難を積み重ねて物語は展開していく。
紙はいつか古びて手に取ることができなくなるかもしれないけれど、物語の記憶は、一生の宝になるに違いない。