実説 城谷怪談 撰集十七

実説 城谷怪談 撰集十七

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発行形態 書籍

最新刊発売日 2021年07月16日

カテゴリ 一般書籍

作品概要

1.「ダブル不倫」
ある霊能者のもとに相談にやってきた三十代半ばの男性は、同じ社員寮に住む女性との不倫で悩んでいた。双方子供こそいなかったが既婚者であり、事情が露見すればお互いに家庭崩壊は免れず、会社にもいられなくなってしまう。わかっているものの相手との関係にピリオドが打てない。相手の女性は情念のようなものが強く感じられ、生霊ではないかとおもう気配に脅かされているというのである。早く関係を清算しなさいという先生の助言に男性は了解を示すもののなかなか行動に移せずにいた。しばらく連絡が途絶えたのちに遂に決着をつけたと報告にやってきたのだが、そこには思いもよらない結末が待ち受けていた。

2.「人面犬」
都市伝説やオカルトの噂は時代や場所を超え、姿やエピソードを変えて折あるごとに流布するようだが、人面犬もその一つだろう。だが、どの噂もそうであるように気が付くと全国で見た者、聞いた者が続出する。火のないところに煙は立たぬという…。城谷が中学二年生の晩秋、私塾への通り道には一軒の新しい家があった。 引っ越してきた中年夫婦は、その中庭で大きな白い毛並みの犬を飼っていた。その日、いつも通り件の家の前を通りかかった時、急に風が凪ぎ、時が止まったような静寂に包まれる。その犬は、鎖につながれ、こちらに背を向けたまま随分激しく餌にがっついている。何かその場を一刻も早く立ち去らなければと感じつつ、意思に反して犬に呼びかけてしまうのだが…。

3.「ここにいるよ」
いじめはどこにでもある。社会人になってもより辛らつに陰湿に、或は残酷に行われることがままある。ある会社の営業課は体育会系の部署だった。朝オフィスに出勤して来ると、朝礼後はすぐに外回りに出て暗くなるまで誰も帰ってこない。それぞれにデスクはあるが、日中のオフィスには殆ど人の姿はなかった。だがそこにひとり。キムラさんという平社員だけはいつも自分のデスクで日がな一日過ごしていた。営業の成績が悪く、上司からも見捨てられ、かといって不況のこの時代やめるにやめられず周囲からのいじめや罵詈雑言に打ちのめされながらも身動きが取れなくなっていたらしい。そしてある日、事件は起きてしまった…。

4.「長野県某宿奇談(前編)」
ツガワさんという男性の体験。彼が通っていた工業系の大学では、四年生になると卒業論文の代わりに、卒業発表という名目の旅行がある。風光明媚な自然豊かな長野県にある某宿泊施設におよそ一週間泊まり込みという企画で、予算は学校持ち、発表の時間以外は自由時間という触れ込みの人気のゼミだった。ところが大型バスでたどり着いた宿泊施設は市街地からは遠く離れた山間部にある殺風景な元は学校の校舎を改装した建物だった。初日の晩、暇を持て余した同部屋の男子六人はこっそり部屋を抜けだすと宿泊施設内を見て回ることにしたのだが…。

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